なぜ多くの変革は、実行段階でつまずくのか?

「生成AI活用や顧客へのパーソナライズ提案といった先進的な取り組みを掲げたものの、どこから着手すべきかわからない」、「顧客体験の改善を図ったが、業務やシステムと整合がとれず、実装に至らなかった」、  「全社戦略としてKGIを設定したが、現場に落ちず“絵に描いた餅”になってしまった」

こうした状況は、保険業界のDXやUX推進に取り組む企業から、私たちが頻繁に耳にするものです。

保険会社の変革を成功に導くためには、「顧客体験」はもちろん、「業務オペレーション」「システム・データ」、「マーケティング」といった複数領域を連動させる計画や設計が不可欠です。

現代の複雑化した課題解決を単一の領域、単独の部署のみのアプローチで変革することは困難です。
本記事では、保険業界の現場に根差した支援事例をもとに、ビジネスゴール達成に向けた4つの実践視点とその進め方をご紹介します。

ビジネスゴール実現に必要な「4つの領域」とは?

私たちは、保険会社の戦略や事業計画を“実行可能な戦略”に変える鍵は、以下の4領域を横断的に検討することだと考えています。

● 顧客体験(UI/UX):顧客視点でのUX 向上
● マーケティング戦略:事業成果を実現に導くターゲット、訴求価値、施策の設計
● 業務オペレーション:現場運用の見直しと効率化
● システム・データアーキテクチャ:それぞれの要件を実現するための基盤の見直し

これらは個別最適ではなく、「相互に影響し合う前提」で網羅的に検討をしていくことが、KGI・KPIの達成を可能にします。

図版①:ビジネスゴール実現に向けた「4領域」の関連性

領域間の“つながり”をどう設計するか?

領域間の連携の検討は無数のパターンがありますが、代表的なものを例示します。

● 顧客体験 × システム・データ:顧客体験の向上と現行システム改修の費用対効果の見極め

「パーソナライズされたサービスを提供したいが、データがあっても使えない」、
この課題は、ID統合の未整備各種データベースの分断など、保険会社のデータ活用における構造的問題に起因しています。

保険業界のDX推進に伴い、SoR(業務の基幹データ管理)・SoI(インサイトの導出)・SoE(顧客接点)の3層をまたぐ、統合的なデータアーキテクチャの設計と、チャネルを横断した顧客体験の再構築が、これまで以上に重要になっています。

特に注目すべきは、営業職員や代理店などの「人」が介在する接点の価値をいかにデジタルで拡張・最適化するかという視点です。顧客一人ひとりに寄り添う保険の提供価値は、単なるシステムの高度化にとどまらず、リアルとデジタルの融合による体験設計によって、大きく進化を遂げることができます。

収益性の向上と同時に、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指すためには、「データの流れと意思決定の構造」を横断的に捉え、現場の使いやすさと経営の視点を両立したアーキテクチャとUXの設計が欠かせません。

図版②:顧客体験とシステムの整合アプローチ例

変革を成功に導く優先順位のつけ方

リソースに制約のある中、これらの視点をすべてに一斉に着手するのではなく、「どこから始めるか」、を優先順位をつけて明確にすることが重要です。

優先順位付けの判断軸は個々に異なりますが、以下3点が主な軸として挙げられます。検討事項に応じて、判断軸自体も見直しを行い優先順位を付けていきます。

● 実現性:業法対応、システム制約、現場のオペレーション負荷を考慮
● 効果:ROIだけでなく、ブランド価値やUX向上などの定性評価も含める
● 時間軸:短期で成果が出る「クイックウィン」が可能か

図版③: 優先順位付けのための検討軸の例

リードインクスのご支援アプローチ

私たちリードインクスは、保険会社の戦略や事業計画の実現のために、経営目標と現場実行をつなぐ実践的なご支援を行っています。以下はその一部のアプローチです。

ケース①:UX×マーケティングのアプローチによるKPI改善

中期経営計画等で掲げたKPI実現のため、あるべき顧客体験を定義しつつ、実行可能なマーケティング施策の検討、KPI達成までのロードマップを策定。
関連部門との巻き込みを図りながら、合意形成を図りました。

◯対応領域:保険会社マーケティング戦略、データ活用、UX向上、KPI管理設計

ケース②:顧客体験 × 業務再設計の共創ワークショップ

UX起点で理想的な顧客体験像を設計し、それを実現するための業務・システム再構築を現場巻き込み型のワークショップで合意形成。部門を横断した連携体制とオーナーシップを醸成し、現場主導での変革推進を可能にしました。

◯対応領域:保険会社変革、UIUX設計、業務BPR、ワークショップ設計

主なご支援内容

私たちは、保険業界を中心に以下のようなテーマで専門チームによる網羅的なご支援を提供しています:

● 中期経営計画に基づくDX戦略立案・実行支援
● あるべき顧客体験の定義及びシステムアーキテクチャ再構築
● ワークショップ形式でのUX改善とマーケティング施策の検討
● データドリブンでのデジタルマーケティング戦略、施策の検討

変革の成功には“領域横断”アプローチが不可欠

「トップダウンで方針は出ているが、現場がついてこない」
「やるべきことは見えているが、どこから手をつけるべきか分からない」
  ―このようなお悩みを抱える保険会社の皆様へ

変革を動かす鍵は、「俯瞰的な視点を持った“領域横断”アプローチ」です。 リードインクスは、現実的かつ持続的な変革を、貴社と共に実現します。

ぜひお気軽にご相談ください。

用語集

CDP
Customer Data Platformの略称で顧客データを収集、統合、分析し、顧客一人ひとりの詳細な情報を把握・活用するためのプラットフォームのこと
RDB
Relational Databaseの略称で表形式でデータを管理するデータベースのこと
SoR
System of Records の略称で、記録のためのシステムのこと
SoI
System of Insight 」の略称で、インサイトのためのシステムのこと
SoE
System of Engagement の略称で、エンゲージメントのためのシステムのこと
Quick Win(クイック・ウィン)
『小さくとも初期段階における成功実績』。長期的な目標達成に向けて、短期間で成果を上げ、早期に成功体験を得ることで、モチベーション向上やプロジェクトの推進に繋げる戦略や考え方
BPR
Business Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)

執筆者

DXコンサルティング事業責任者
田口 智章
経歴
大手損害保険会社、コンサルティングファームを経て現職。
保険業界の事業戦略策定、デジタルマーケティング支援、BPRなど幅広い支援実績を有する。