2026年2月25日(水)・26日(木)、虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催された「InsureTech Connect Japan 2026」(主催:InsureTech Connect(ITC)、Plug and Play Japan株式会社)に当社が協賛し、ブース出展ならびに代表取締役社長 兼 CEO 柏岡がパネルディスカッションに登壇しました。
本記事では、当日のセッションの様子や議論のハイライトをリポートします。

◆セッション概要
タイトル:From Sales to Relationships : Redefining the Purpose of Insurance Channels / 販売から関係へ:チャネルの存在価値を再定義する
日時:2月26日(木) 16:30〜17:00
形式:パネルディスカッション
登壇者:
<モデレーター>
・Plug and Play Japan株式会社 Director, Insurtech 西山 イサム氏
<パネリスト>
・ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 横澤 淳平氏
・楽天グループ株式会社 執行役員
楽天インシュアランスプランニング株式会社 執行役員 幸崎 えみ子氏
・株式会社ヤマップネイチャランス損害保険 執行役員 鹿谷 周宏氏
・リードインクス株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 柏岡 潤

本セッションでは、「販売から関係へ:チャネルの存在価値を再定義する」をテーマに、保険事業の中核を担う事業者に加え、被保険領域の事業から保険分野へ取り組む企業など、多様な立場の登壇者を交え、保険チャネルの今後のあり方について多角的な議論が交わされました。

― まずはリードインクスの事業紹介と、現在の取り組みについて教えてください
リードインクスは、AIやデジタルテクノロジーを活用し、保険会社さまと保険代理店さまの間に入って「販売と関係構築のDX」を推進するインシュアテック・イネーブラーです。具体的な事例としては、親会社であるソフトバンクとのシナジーを生かしたキャッシュレス決済サービス「PayPay」内のミニアプリでの保険提供をはじめ、銀行さま、さらには航空会社さまのアプリの中に保険サービスを組み込む「エンベデッド・インシュアランス(組込型保険)」といった取り組みをご支援しています。単なるシステム提供にとどまらず、どのようにデジタル保険を展開するかという戦略のコンサルティング部分から伴走させていただいているのが当社の特徴です。
― 今回のテーマである「チャネルの存在価値を再定義する」。チャネル(保険代理店)は、今までどのような役割で今後どうあるべきだと思いますか?
保険は本質的に「未来への投資」であると考えます。未来の自分たちに対して、現在の関係性の中で保険を引き受けるものだと考えると、チャネルとして提供しないといけないのは、「セーフティーネット(安心を支える仕組み)を、その時々の関係性の中で社会に接続すること」だと思います。
これまでのチャネルは、「いかにして、このお客さんに保険を売り込むか」という“販売すること”そのものに主眼が置かれる傾向が強かったと感じます。しかし、現在はチャネル自体が多様化しています。たとえば、お客さまのスマートフォンの中に多種多様なアプリが入っているように、お客さまがそれぞれのサービスに期待する「信頼の寄せ方」も決して画一的ではありません。
だからこそ、これからのチャネルに求められるのは、いかにしてユーザーとの接点を強化・維持し続けるかということです。 お客さまを深く理解し、その変化に合わせて、最適なタイミングで保険をおすすめしていく。それが、今後のチャネルのあり方だと考えています。
― デジタル・AIの進化に伴い、保険販売における「人」の役割はどうなると思いますか?
基本的に、「AI」と「デジタル」は分けて考える必要があると思っています。ここでいうデジタルは「データやプロセスをできる限り簡素にしていくこと」だと捉えています。一方で、AIは生成AIなどもそうですが、判断や提案の精度を高める技術だと思っています。これらは相互に関係するため、データがしっかり整備されている領域ほど、AIの活用も進みやすいと考えています。
その上で、人がやらなくていい業務は明確です。画一的な問い合わせや、すでにある程度のデータが蓄積されていることに関しては、そのままAIやデジタルによって対応できる領域です。
一方で、お客さまの状況を正確に捉えて、責任を持ってご案内をしたり、伴走していく姿勢が求められる保険業界において、オンデマンド性という点ではデジタルの力を借りられるかもしれませんが、すべてのプロセスを完全にAIに置き換えられるとは限らないと考えています。例えば、AIが提示した通りに対応して何らかのトラブルが発生した際、AIに責任を問うことはできません。最終的にそこに対して責任を持つべきなのは、やはり人間だと思っています。そういった観点から、AIが担うべきは「判断」と「選択肢の提示」であり、人が担うべきは「責任」と「寄り添う力」です。この役割分担を明確にすることが、これからの顧客接点において非常に重要だと考えています。
― ここで「人」についてお伺いしたいです。これから保険チャネルで活躍する人材には、どのようなスキルやマインドセットが求められるとお考えでしょうか?
これまでは「保険会社はこれを行う」「チャネル(保険代理店)はこれを行う」というように、役割が分断されがちでした。しかし、リアルからデジタルへと移行する中で、この構造自体が再構築されます。これまではどうしても提供者側の視点で全体設計がなされてきました。一方で、購入するお客さまの視点に立ったとき、「自分がどの保険会社の顧客で、どの接点でご案内を受け、どのタイミングで申し込み、いざ保険金を請求する際にどのような体験になるのかいざ保険金を請求するときにどのような体験になるのか」という一連の設計は、提供者側の役割が分断されている状態では行えません。
これからは、自分たちの役割や使用しているシステムを理解した上で、全体を最適に設計する力が求められます。
Webの世界では「企画・デザイン・エンジニアが三位一体であること」が当たり前になっていますが、保険業界においても、どの立場の人であっても技術の構造を理解して作っていく視点が重要だと思います。そしてこの考え方は、AIを活用する際の「AIエージェントを作る」「複数のエージェントを連携させる(オーケストレーション)」といった考え方にも、そのまま当てはまります。したがって、チャネルや保険業界が今後さらなる付加価値をお客さまに提供していくためには、物事を構造的・全体的に捉える「エンジニア的なマインドセット」を持つことが、非常に重要になってくると考えています。
― 今回のテーマは1社単独で完結するものではなく、多様なステークホルダーが関わる領域だと思います。今後の意気込みや業界へのメッセージをお願いいたします。
「学び続けること」と「変化を恐れないこと」の2つが何より大事だと思っています。リードインクスのインシュアテック・イネーブラーという立場からすると、UIデザイナーやデータサイエンティストが見ているものと、ビジネス側の方々が見ているものは、全く違っていたりします。そして現状、それぞれの領域の最先端の知見がこの業界に結集しきれておらず、お互いがやりたいことを落とし込めていないことに課題感を持っています。それぞれの最先端の知見を結集し、具体的な事業として社会実装していくこと。そこにこそ、リードインクスの役割があると考えています。
また個人的に面白いなと思っているのは、一般的なデジタルマーケティングは、「顕在化しているニーズ」に対してアプローチをするのに対し、保険業界は逆転現象が起きていることです。
一般的には「Webで集客し、対面で成約する」のが定石ですが、保険業界では、信頼関係を持つ「人」やAIがきっかけを作り、最終的な手続きは「Web」で完結させるという、逆転現象が起こり得る時代になっています。
こうした逆転現象の変化に直面する中で、「今までこうだと思っていたが、実は違った」となった時に、どのように再設計するのか。常に勉強し、実践し、それを論理立てていく。この一連のプロセスを実験し続けて、新しい価値を作り上げていけたら大変面白いなと考えています。
◆当日の様子




当社の展示ブースにも、多数の国内外の方にお立ち寄りいただきました。デジタル保険プラットフォームへの関心は高く、今後の保険業界におけるDXの加速を肌で感じる2日間となりました。
◆「InsureTech Connect Japan」とは
世界中の保険業界関係者が一堂に会する、業界最大規模のグローバルカンファレンス「InsureTech Connect」。その日本版である「InsureTech Connect Japan」には、国内外の大手保険会社を代表するリーダーや専門家、スタートアップが集結し、日本市場の変革と成長を加速させる交流の場となっています。
公式サイト: https://asia.insuretechconnect.com/japan