導入事例
保険サービスの再構築で顧客価値を最大化
住友生命保険相互会社エグゼクティブ・フェロー デジタル共創オフィサーデジタル&データ本部 事務局長 岸 和良 様
事業内容 | 生命保険事業 |
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URL | https://www.sumitomolife.co.jp/ |
導入システム | Graphene(グラフェン) |
デジタルやデータの活用で、お客様の人生をより良いものへ
はじめに、貴社の事業内容や特徴を教えてください。
人生100年時代となる現代において、当社では、”お客様のWell-beingな人生の実現に寄与しなければならない”と考えており、さまざまな保険サービスを提供しています。2018年にはWaaS(Well-being as a Service)である「Vitality」という保険の提供を開始しました。「Vitality」は、ビッグデータを活用することで、運動習慣や健康診断の結果から一人ひとりにパーソナライズされた健康増進サポート・疾病リスクを提供し、健康増進への取組み等に応じて特典(リワード)が付与される保険です。Vitalityに取り組んでいる会員ほど入院率や死亡率が低いという結果も出ており、お客様の幸福度の向上に繋げられていると考えています。デジタルやデータを活用してWaaSという形で、保険だけでなく体験型商材までも提供していくことで、顧客価値を高めていくことを目指しています。
岸様のご経歴を教えてください。
入社以来システム関連の業務に携わっていますが、並行して自分でビジネスを立ち上げたり、仕事仲間のビジネスを手伝ったりして事業感覚も培ってきました。このような経験を活かして、現在はデジタルを用いた事業の成長を推進しています。具体的には、従来型保険の構築だけでなく、チャネル開拓や新保険会社の立上げを行ってきており、現在は健康増進型保険「Vitality」やプラットフォーマーと共同で組成した「熱中症お見舞い金」「インフルエンザお見舞い金」などの新しい保険サービスの企画や、デジタルを活用した顧客価値の向上という視点でビジネスをプロデュースしています。
リードインクスとの取り組みについて教えてください。
リードインクスさんの保険会社向けシステム「Graphene(グラフェン)」を導入し、PayPay上のミニアプリ「PayPayほけん」から加入できる保険を提供しています。リリース実績としては、2022年に「熱中症お見舞い金」、2023年に「インフルエンザお見舞い金」を展開しています。どちらも期間限定のシーズン商品で、非常に低価格で加入できる従来にはない新しい保険です。「熱中症お見舞い金」については、さまざまなメディアにも取り上げていただき、サービス開始からわずか3カ月間で加入件数5万件を突破させることができました。
2023年4月に販売を再開しており、昨年の加入者に対する「リピート割」を新たに導入して、過去のデータを基に保険の改良を加えるという新しい取り組みにも挑戦しています。また、今後は貯蓄型保険の展開も検討しています。
デジタルならではの保険開発には、全く新しい発想が必要
デジタル保険の展開にあたり、課題や苦労された点について教えてください。
デジタルならではの全く新しい保険を作るということで、商品発想は非常に苦労しました。従来型の保険では、営業職員や保険ショップにおける保険サービスや販売方法を中心に考えていましたが、デジタル保険では、従来型とは異なる商品特性があり、顧客価値が高くて、かつ安価であるということがコンセプトでしたので、難易度が高かったです。最終的には、「世の中の人が一定苦しんでいること(病気・感染症など)を解決したい」という原点に還ることで、発想を得られました。
また、システム観点においては、システムの処理能力が課題となるリスクがありました。PayPay上で保険を展開するということは、日本随一のプラットフォーマーからトランザクションが発生することなので、ピーク時にはどのようなシステム稼働状況になるのかの想像がつかなかったためです。ですが、Grapheneは過去の稼働実績が豊富にあり、そのような状況にも十分に耐えられるシステムでしたので、課題には至らず、サービス展開をすることができました。
デジタル保険をリリースしてみての気付きがあれば教えてください。
様々な予想外がありましたが、特に驚いたのは「デジタル上ではお客様は保険加入を即決する」ということでした。リリース以前は、従来型保険を軸に考えると、「価格に関わらずじっくり比較検討するものだ」という認識が強くありました。しかし、実際には即決で保険に入られる方がとても多く、予想とは真逆の状況を目の当たりにしました。また同時に、顧客価値があれば、すぐに加入していただけるということも再認識することができました。ECなどで商品が売れる仕組みとしては当たり前ですが、結局は保険も同様なのだということを実感しましたね。 特に「熱中症お見舞い金」の場合には、テレビなどで熱中症の注意喚起があると、ニーズというよりも不安を感じてその場で保険に入っていただくようなケースが多かったです。従来であれば、他社保険や他商品も検討した上で加入するのが一般的でしたが、デジタル上においては意思決定プロセスがシンプルで、不安→PayPayで簡単に保険に入れる→ポチっとする(加入)→安心というような直感的な感じなのだと思います。本当にネットで物を買う感覚に近いですよね。
新たな価値を生み出すために重要なことは「共創」
Grapheneの導入経緯について教えてください。
デジタルを活用した顧客価値の向上という私のミッションにおいて、外部のデジタル保険システムを導入したいと考えていました。元々はエンベデッド・インシュアランス(組込型保険)を展開したいと思っており、システムを探していました。そのような中で、リードインクスさんのGrapheneは、海外での実績が複数社においてありましたので、そこを評価させていただきました。デジタル保険の知見があり、かつ実績もあるということで、まさに技術力を買わせていただいた形ですね。
Grapheneを導入して良かった点について教えてください。
デジタル保険に特化したシステムであるという点が良かったです。やはり従来型保険に適応した自社システムだけでは、対応が難しかったと思います。また、デジタル保険に強い人員のサポートという点でも、リードインクスさんにご対応いただけたので非常に良かったです。やはり餅は餅屋かなと思いますね。従来型保険をやっている保険会社が、デジタル保険にいきなり取り組むのはハードルが高いと思いますので、デジタル保険に取り組むのであればしっかりと戦略を考えた上で、リードインクスさんのような外部のサービスベンダーを使う方が成功の可能性は高まるのではないかと個人的には思っています。
最後に、今後リードインクスと一緒に実現したいことや挑戦したいことについて教えてください。
「保険の新しい価値」を一緒に創っていただきたいと思っています。どうしても社内だけではノウハウが不足しますし、お客様に新たな価値を提供するためには、1社だけで考えるのではなく「共創」することが重要です。「Vitality」についても様々なパートナー企業と一緒に取り組ませていただき、サービス価値を創っています。要するに、組み合わせることが大事だと思うんですよね。私の肩書きにも「デジタル共創オフィサー」とあるように協業・共創という部分で、リードインクスさんとはもちろんですが、ソフトバンクさんのグループ力もお借りしながら、新しい保険の世界を一緒に創っていければと強く思っています。
岸様、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。
今後もリードインクスとして、お役に立てるよう尽力してまいります。
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