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- 2025.3.24 レポート
「InsurTech Connect Japan 2025」に当社代表取締役社長 兼 CEO 柏岡が登壇しました
2025年3月5日(水)・6日(木)に東京・虎ノ門にて開催された、「InsurTech Connect Japan 2025」(主催:InsureTech Connect(ITC))に当社が協賛し、ブース出展ならびに代表取締役社長 兼 CEO 柏岡がパネルディスカッションに登壇しました。
◆セッション内容 タイトル:The Evolution of Distribution Channels in Japan's Insurance Market and Beyond / 日本の保険市場における販売チャネルの進化と今後 日時:3月6日(木)11:00〜11:30 形式:パネルディスカッション 登壇者:(モデレーター)Plug and Play Japan株式会社 インシュアテック シニアマネージャー 西山 勇 さま (パネリスト)BNPパリバ・カーディフ・ジャパン株式会社 最高マーケティング責任者兼 トランスフォーメーション責任者 高谷 智之 さま (パネリスト)富士通株式会社 F&SIユニット 第二事業部長 石浦 賢 さま (パネリスト)リードインクス株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 柏岡 潤


今回のイベントにおいて柏岡は「日本の保険市場における販売チャネルの進化と今後」のパネルディスカッションに登壇しました。

【プロフィール】 柏岡 潤(かしおか じゅん) リードインクス株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 2006年にソフトバンクに入社後、法人/個人向けセールスに従事。2017年に新設されたデジタルトランスフォーメーション本部に異動して、多数の企業と事業共創/事業開発をリード。2018年からはFintech領域を主軸として、現在はFintech事業推進の責任者および子会社でInsurTech事業を手掛けるリードインクス株式会社の代表取締役社長 兼 CEOを務める。
― 事業紹介をお願いします
保険会社さまや保険代理店さまと共に「デジタルの力で保険をより良いサービスすること」を目指しています。保険会社さまにとっては対面販売やダイレクトのWeb販売だけではなく、新たな顧客接点を作り、その中でエンベデットでの保険や新しいマーケットを作りながら、最適な保険をお届けするところまでを行っています。保険代理店さまには、これまで直接販売していたサービスにおいて、デジタルアプリケーションを作り、本業とのシナジー構築をされようとしているところへ保険を埋め込むことで、保険代理店さまが持っているマーケット対して、新たにどのような価値が提供できるのかにチャレンジをしています。2025年2月時点において、当社はこれまでに35商品・累計850万件の保険契約を獲得しています。保険会社さま、保険代理店さま、販売チャネルさまと一緒になって、日本のお客様に保険をお届けすることにチャレンジしていきたいと考えています。
― インシュアテック事業における顧客獲得(生損保)の課題について
私どもがこの事業を始めた時には、保険会社さまにおいては、CDO(最高デジタル責任者)の方の課題だという理解をしていました。インシュアテックという言葉から入った時に「技術で何ができるのか」ということをある程度証明する必要があると思っていたからです。ありがたいことに、私どもはソフトバンクのグループ企業ですので、「Yahoo! JAPAN」やキャッシュレス決済サービス「PayPay」などの商流を活用して、数千万単位の顧客にリーチできることはある程度見えていました。保険会社さまにとっても展開先のチャネルがイメージできるからか、「このテクノロジーを使ってこういう売り方をしていきましょう」とお伝えすると、比較的早く進むことができました。 2025年2月時点において、850万件以上の保険販売ができています。損保系で一つ牽引しているのは、エンベデッドですね。Yahoo!オークションの「あんしん修理」や昨年の12月にリリースしたYahoo!ショッピングの「返品送料保険」などが挙げられます。返品送料保険は新しい保険の売り方だと思っていまして、いわゆる自己都合返品の返送料を負担する保険です。今までオンラインショッピングで高額なものを買えなかった理由の一つに、素材・色・サイズなどがイメージと異なるかもしれないといったことがありました。しかし、「この保険があるからYahoo!ショッピングで購入したい」、「この保険があったから安心して購入できた」などの顧客体験を創り出すことが可能です。まさにWin-Winな関係を作れるモデルだと思っています。 一方で、生保はなかなかエンベデッドが難しいので、マーケットプレイスで展開をしています。キャッシュレス決済サービス「PayPay」の中で少額の保険をリリースしながら、どのような形でアップセル・クロスセルがされるのかについて、まさにトライをしているところです。顧客に価値を提供できるということは、PayPayほけん「熱中症お見舞い金」やPayPayほけん「インフルエンザお見舞い金」などの各種データを通じてある程度の実績が見えてきている状況です。 これらの方法を日本の他のチャネルさま、例えば、銀行業界や交通・航空業界などにもご提供しています。今まで対面でのアプローチしていたところを、デジタルに置き換えてトラフィックを増やそうとする中で、新たな価値を提供したいとなった時に、自分たちの現状のサービスが何なのか、強みが何なのか、そこに保険を付帯するとどれぐらいのコンバージョンが取れそうなのか、ということを私どもと一緒に上流から戦略的に会話をさせていただいています。 保険市場から見ると、販売チャネルの進化とシフトなのですが、販売チャネル側から見ると、いかにそれを戦略に組み込んで上流から考え、良いUXを提供するのかという視点になります。これらの両方の視点を持ってアプローチをしていくことが非常に重要だと考えています。
― デジタルと人との融合/それぞれの保険のあり方について
例えば、携帯電話の販売は成熟していて、iPhoneはどこでも買える中で、どのように差別化をするのかというと、やはり良い提案ができるかどうかに尽きます。フィジカルな部分では、人の多いタイミングや人通りが多い場所で、お客さまをキャッチできるかだと思います。他方でインバウンドのような話では、AIは着目するべきだろうと思っています。みなさんが既に蓄積しているデータを活用することで、お客さまが求めているものに対して、具体的な提案を行う。ただ、それはある程度お客さまが答えを持っている前提のアプローチをとっているのかなと思っています。しかしながら、私どもはそうは考えてはいません。おそらく「お客さまは答えを持っていない」と思っています。なお保険商品においては、その傾向が強いと思います。日本における最適な方法がなんなのか、お客さまに対しては提案なのか、想起させるのか。どのようにアプローチをしていくのかという観点においては、そのような課題がベースにあるかなと思っています。 デジタルで解決するのか、人がそこに対して最後のプッシュをするのかについては二次的な要素にしか過ぎず、大事なのはテクノロジーによって、漏れなくお客さまにアプローチができる状況を具備できることだと思っています。そのような側面をインシュアテックやイネーブラーの立場としては気をつけながら、誰がそこに勝ち筋を持っているのかを見極められればと考えています。仮に「ライフステージの中で保険が購入されるべきなのだ」というセグメントがあるのであれば、それを変えるために「どのように保険商品を変えながらアプローチをしていくのか」というシナリオを描くことが重要だと思っています。そのシナリオを描ける人がそこでプロジェクトをするべきですし、期待のされ方をコーディネートしなくてはいけないため、インシュアテックの課題というよりかは、業界全体の課題として捉えていくべきなのかなと思っています。
―今後の展望やメッセージをお願いします
クロスインダストリーの領域が間違いなくトレンドになってきていると考えています。多くの生命保険会社さまがヘルスケア・医療・介護などの事業へ参入されており、顧客体験や逆選択リスク、ロスプリベンションなど、さまざまな観点でそのような業界とのアプローチや連動はより強くしていかなければいけないのではないかと思っています。 そのような意味では、ディストリビューションの部分においては、保険業界の方がデジタル化が少し先行できているのではないかと思っています。一方で、やはりまだまだ置いていかれている業界と、どのようにそこでシームレスに導線が作れるのかというのは、私どもの課題として捉えています。加入だけではなく、その後の顧客体験としての請求からその後続の部分まで。これはまさに今年以降で私どもがチャレンジしていく部分だと思っています。本日のこのようなイベントにおいて、保険業界以外の企業の方にも多く参加いただき、ぜひクロスインダストリーで保険業界と何ができるかをどんどん議論していきたいと思っています。